訪日外国人旅行者の増加と2020年の東京五輪・パラリンピック開催を背景に、バリアフリーに関する法令や基準の見直しが加速しています。ここでは平成31年(2019年)9月1日に施行される「改正バリアフリー法(高齢者、障碍者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)」に関して書きたいと思います。
※法改正などで今後変更となる可能性が十分あります。ご注意下さい!!
改正内容のうち、ホテル旅館におけるバリアフリー客室の基準見直しについて記事にします。
国土交通省が行っているパブリックコメントによると、
2,000㎡以上のホテル又は旅館を建築する場合に、建築する客室の総数が50以上のときは、車椅子使用者用客室を当該客室総数の100分の1以上設けなければならないとする。(令第15条第1項関係)
ホテル又は旅館のバリアフリー客室基準等に関する対応方針(案)
となっており、現行の施行令第15条第1項(ホテル又は旅館の客室)では、車椅子使用者が円滑に利用できる客室を、客室総数が50以上の場合は1室以上設けなければならないとされており、100室でも300室でも1以上設ければよいこととなっておりました。しかし、今回の改正により1%となることから、50~100室であれば1室以上、300室であれば3室以上となることが考えられます。
国土交通省では、ホテル又は旅館のバリアフリー客室基準の見直しに関する検討会を設置し、これまで4回にわたり検討してきたようです。
詳しくはこちらhttp://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000094.html
第3回の議事を確認すると、障害者団体からは1%で良いのか、もっと引き上げるべきではないかと意見があったようですが、バリアフリー室の稼働率の低さが課題とされていたようです。今後利用者が増えてくると、法律も変わってくるかもしれませんね…(*‘ω‘ *)
〈参考資料〉
高齢者、障がい者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準(平成28年度版)の改正概要
平成31年3月29日報道発表より
「ホテル又は旅館における高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準(追補版)」が公表されましたので、追記いたします。
今回のガイドラインでは、主に以下の項目について記載してあります。
①車椅子使用者用客室設置数の基準見直しの反映
②多様なニーズや宿泊施設の特徴に対応した客室モデルのバリエーションの追加
③各客室に共通する整備及びソフト面の工夫、共用部分に関する配慮事項の追加
④新築・改修・ホテル・旅館・水廻りの構成等の各特徴に応じた、多様な優良事例の追加
ホテル又は旅館における高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準(追補版)概要
ここまで読んでいただき、ありがとうございました(*^_^*)